稽古場日誌Vol.17 「ミラー細胞」

本日も、「タニンノカオ」の稽古です。
オープニングの台本の差し替えから。
一見、複雑に感じる作品ですから、
おそらく純化させなければ見えてこないものがあるのだと。
台本もシンプルなものに訂正されてわかりやすくなっていました。


迷路のような思考を持った主人公の「男」に、
演出家・俳優全員振り回されています。

この作品を読んで、ふと、思いに浮かんだことがあります。
頭の中にある神経細胞「ミラーニューロン」。
1996年に発見されました。
他者の行動を見た時、自分が同じ行動をしている時と同じ活動を脳内で行い、
相手の行動を瞬時に理解する上で役立つ細胞だそうです。
単なる模倣細胞ではなく「リンク」し「共構成」するそう。
しかも「距離」が関係しているらしく、近ければ近いほどよく働くそうです。
しかし、この細胞、いいにしろわるいにしろ、
「自己」と「他者」の区別がつきません。

面白い記事を見つけました。

演出家のピーター・ブルックがパルマ大学神経科学研究室での「ミラーニューロン発見」のニュースを聞いたあと、
「これで神経科学者たちも、演劇ではずっと常識だったことをやっと理解するようになるだろうね」と言ったそう。
演劇は「他者」を模倣するところからはじまるからです。

ここからは私の想像ですが、
このミラーニューロン、「目」が重要な役割を担っているのだと感じます。
自分の目がしっかりと「他人」をみているのなら、ミラーニューロンは正常に働くのでしょうが、
自分の目が「自分」をみているのなら、ミラーニューロンは異常に働いてしまう、そう、「自己」と「他者」の区別がつかなくなる。


安倍公房おそるべし。
ちなみに、「ミラーニューロン」が発見される2年前に安倍公房さんはお亡くなりになっっています。
写真は、「他人」を模倣するために、メガネや、衣装をつけてみる俳優陣。

水谷純子