その4「乗り越える」

音楽家のことば…
モーツアルトの音楽は、
モーツアルトという人間がその曲を作ったのではあるけれど、
あの美しい音色は、神を通して創られたのだと私は思うのです。
だから私は、モーツアルトの音楽を再生するのではなく
神がモーツアルトを通して授けた音楽を再生するのだと
信じて演奏に挑みます。

演出家のことば…
演劇をすることは、果てしない宇宙を想像することだ。
それは、漠と空想することではない。
科学者が謎を追究することと似ている。

バレエダンサーのことば…
バレエはなぜつま先で立つのか。
それは、より神に近づくための行為なのです。
回転も、ジャンプもその行為です。
技術を習得するだけではなく、そのイメージを持たなければ、
本来のバレエではないのです。

教育者のことば…
月があるから、人は月に行きたいと思い願う。
エベレストがあるから、その頂上に登りたいと考え夢見る。
目標や理想があるから、
苦難や苦痛に耐えてでも、そこに行きたいと思うのだ。
つまり教育とは、目標や理想を持たせることなのだ。

すべて、「乗り越える」の話だと僕は思う。

「愚鈍起承転浪漫譚」考でした。