その2「合わせる」

「合わせる」は、呼吸。
つまり「息」のこと。

だから、稽古場では見える息を意識する。
毎日繰り返し繰り返す。
無声音の「シー」とか「スー」「フー」と鼻音の「ンー」を利用して。
体得には時間を要する。

合わせるには、
「息で合わせる」「目で合わせる」「身体で合わせる」
の3つしかない。

「せーの」「さんはい」等の幼児教育のため言語は慎む。
どうせなら「イーアッ」「ウンハッ」くらい幼児の言語が都合いい。
記号的言葉を押しつけた義務教育の悪習も取り払いたい。

もうひとつ、
お芝居はつねに「反対」を考えなければならない。
これを「反対学」と言う。
息を吐くためには吸わなければならぬ。
脱力したければ一度身体を硬直させる。
台詞も文字づらと反対の感情を捉えるとうまくいく(こともある)。
役者たる者アマノジャクがちょうどいい。

稽古場日誌に楽譜と格闘する姿がよく報告されている。
譜面だけでは読み取れない息づく伴奏に合わせること必死である。
「息」「目」「身体」を使って合わせる訓練に丁度いい。

人に合わせるが、芝居の極意である。