その1「磁場」

私は人の会話を遮るほどのオシャベリなので、
ツイッターでのつぶやきなどではもの足りず、
ましてや、「ツブヤキ」ではなく「ツ・ボヤキ」だろうという、
周囲のご非難も鑑み、
タイトルを「演出家のツ・ボヤキ」と考えたが、
文字面だと「ツボ焼き」にしか見てとれないので、
つまらないシャレはあきらめた。

さて、稽古開始から一週間。あちらこちらから、
「稽古を見学させていただきたく…」
「遊びに行きたいんですが…」
「芝居の勉強させてもらえませんか…」
との連絡が入る。

どうやら密室での『稽古』というものは端からみると
覗きたくなるものらしい。
かくいう私も若い頃は、見なきゃ損とばかりに隙あらばと
いろんな劇団の稽古を盗み覗いたクチである。
他人の稽古ほど気楽で、おまけに役にたつものはない。

どうぞどうぞ。
ただし、コキ使いますからそのおつもりで。

「稽古場」とは、場が存在するから「稽古場」なのではない。
空間に人が集まり、なにかを生み出そうとして、
初めてそこに「場」が存在するのだ。
うねり呼吸し熱を帯びる。
稽古場の「場」とはつまり「磁場」のことなのだ。
古(いにしえ)を稽(かんがえ)る、つまり、
繰り返し試し考えることで磁場を生み出すのが「稽古場」。
人が多ければ多いほど磁場は生まれやすい。

「劇団」をもつより「稽古場」をもちたかった。
そんな理由で。
人が集まれば、芝居はつくれるのだ。
人が集まらなければ、芝居はつくれないのだ。

明日も、うねり呼吸し熱を帯び『稽古場』は存在する。

久次米健太郎