シンクロナイズ・プロデュース ヒストリー

『みなさんに、お知らせ。
シンクロナイズ・プロデュースは、次回9月の公演を持って最終公演とします。』

と、代表の久次米から「ひっそり、あっさり」告知がされました。
もちろん、主催者のひとりである私の思いも共有されています。

さてさてさて、
急な告知にびっくりしたこれまでの関係者からご連絡をいただきました。
関係者 「なんで?なにがあったの??どうして!?」
主催者 「しいていえば、何の問題もないよ。それが答え。」

実は、3年前頃から私の中では終わりが近づいてきているような予感がありました。
それは、まだ、もやもやとした煙の様な存在で、
「いったいなんだろう、これを見逃すまい」と目を凝らしていました。
それは、憂いと喜びが入り混じったような、切なくて甘い、孤独の感覚でした。

シンクロナイズ・プロデュースを発足してから、今年で18年目です。
ですが、シンクロナイズ・プロデュースの発足の種(きっかけ)は、
1995年の阪神淡路大震災でした。

当時、兵庫県の劇団にいた私たちは、震災に遭遇しました。
今でこそ、地震はあまりにもあたりまえになってしまいましたが、
その頃は、まさかの大災害に遭遇するなどということは思いもよらず、
その衝撃はすさまじく、ひよっこの私の芝居観を打ち砕くに十分でした。

震災直後、劇団員の皆とリヤカーを引き、衣装を詰めたリュックを背負いながら、
悪臭と密集の中、猫の額ほどの場所で子供たちに青空演劇を巡り届けました。
暴れる子供の手をとり「こら!」と怒ると、
「おかあさん下敷きになってん」と言いました。
泣くのをぐっと我慢して、笑いながら「馬鹿」になって演じ遊びました。
そして、これが「お芝居の原点」だと気付かされたのです。

ピタゴラスは、人間の3つの必要を説いています。
「身体のために病院」
「心のために劇場」
「頭のために学校」

「心のための劇場」だということはわかったけれど、
私なんかにいったい何があるのか?
空っぽで、何にもないじゃないか。
本当の稽古がしたい
本当の芝居がしたい
本当の作品がつくりたい

そうして、恵まれ守られ与えられていた環境から、旅立つ決断をしました。
あまりにも青くて身勝手な決断だったので、
私を見出し育ててくれた「先生」にだけは、ご自宅まで伺い土下座しました。
どれだけ愛して下さっていたか、正直、決断が揺るぎました。
酔っ払って「もう寝る」と寝てしまった先生のご自宅を出る時、
奥様が「さみしいだけよ、応援してるからね」と言ってくださいました。
それが、1996年23歳の春でした。

そうして、何も持たなくなった私は、はじめて孤独とお友達になりました。

一方、同じく東京に出てきた久次米さんは、
大学時代の仲間といつか芝居作りをするという約束がありました。
久次米さんと私は目的を同じくして、
ほぼ毎日のように夜中のファミレスで朝までミーティングをし、
ゼロベースから芝居作りの立ち上げ準備をはじめました。
それは「もやもやとした煙のような存在」を見きわめる時間でした。

そうして、見えてきたものは、
合言葉
『やりたい人が、やりたいようにやる。所詮お芝居なんだから』
ルール
1)劇団組織ではないこと
2)ブレーン(発足人)を決めること
3)あらゆるクリエーターが集うのゆるやかな演劇を母体とする集合体であること
4)創作だけで人と人が繋がること
5)稽古場で出た問題は、必ず稽古場の中で解決すること

まずは、活動するために「名前(屋号)」をつけよう。
これは、identityだから、とても重要。
お客様と一緒に何を生み出したいか、をイメージした時にきた願いが
・劇場という空間で、そこに集った人たちが共鳴共感し、同時性を持つこと
・別々のことがひとつにまとまること
それをプロデュースするということで
Synchronize Produce(シンクロナイズ・プロデュース)
としました。

そうして名前が決まり、シンクロナイズ・プロデュースは生まれました。

 『一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただの一粒のままである。
 しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる。』

今回のシンクロナイズ・プロデュース終了の決断は、私にとって喜びです。
死ぬことは喜び、次のいのちが生まれる喜びです。

今年に入って、「時が来た」と確信しました。理由は、たったそれだけです。

18年間でシンクロナイズ・プロデュースの活動の「スタイル」は確立しました。
ということは、「古くなった」ということです。
古くなったものは、いちはやく土に返すのが一番いい。
次に芽吹くのを信じて。

続く

PS:
代表で作・演出の久次米氏は台本執筆に集中している為、
一応なんちゃってプロデューサーだった私が、
独断と偏見でシンクロナイズ・プロデュース・ヒストリーを語ろうかと。
正当なヒストリーは、公演終了後、久次米さんが語ってくれることでしょう。

水谷 純子