愚鈍起承転浪漫譚「タイトル」

ご承知の通り、
原題は「Don Quijote de La Mancha(ドン・キショーテ・デ・ラ・マンチャ)」
その捩りの類である。要は言葉遊び。

【Don ドン】
「首領」は悪趣味極まりない。
「貪」は「貧」に間違われかねない。
「鈍」しかあるまい。頭には「愚」を配置した。

「愚」…(グ、おる)ぼける。愚かになる。心を奪われる。
「鈍」…(ドン、おそい)心の働きがおそいこと。時機を逸すること。
「愚鈍」とは、心を奪われるが、機を失するさま。

【Quijote(Quixote) キショーテ(キホーテ)】
「ホーテ」よりも「ショーテ」の方が性(ショー)に合う。
結末が見えない事は、いつもながらに予測できたから、「起承転(キショウテン)」とした。
語呂とリズムが心地よかった。

【de デ】
〜出身、の意味らしい。前置詞なのでこれは無視。
日本語の合わせなら、「起承転で…」の省略といいように解釈してもらえれば。

【La Mancha ラ・マンチャ】
スペインの地名。カスティーリャ・ラ・マンチャ[Castilla La Mancha]
「乾いた土地」の意味。
「愛人(L’Amant)」ではゲスな感じがする。
「ルマン(Le Mans)」はフランスの24時間耐久レースの開催地。混乱を招く。
「浪漫(Roman)」…理想的に物事をとらえ、夢への強いあこがれをもつこと。
そんな話にしたい、の願いから。ロマンは仏語。ロマンス・ロマンチック。

当初「浪漫抄(ろまんしょう)」としたかった。
が、「智恵子抄」や多田裕計の「浪漫抄」など
日本的なにおいがプンプンするのでやめた。

「譚」…(たん)物語を語る。話す。
ふかく・大きい(ゆるやかでふかみのある様子)の意味。
奇譚(珍しい話。不思議な物語)、譚詩曲(いわゆるバラード)
の構想だったし、「ゆるやかでふかみのある様子」というのが気に入った。

「愚鈍起承転浪漫譚」(ぐどん・きしょうてん・ろまん・たん)
(心を奪われるが機を失する男の結末はないけれど夢への強いあこがれを持つゆるやかでふかみのある物語。)

大満足のタイトルである。

久次米健太郎

※前編の正式な原題は、El ingenioso hidalgo Don Quijote de La Mancha(英知あふれる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ)。後編は、Segunda parte del ingenioso caballero Don Quijote de La Mancha(英知あふれる騎士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ 第二部)