劇評・感想

今回の「異邦人〜エトランジェ〜」に関して
ブログやシンクロ宛に届いた劇評・感想です。


 

異邦人『観劇』

開演20分前に着いたら、客席の真ん中辺に既に人がギュウと。
どこに滑り込もうと空席を探していたけれど、前の2列がまだ数人。「よしっ!」と迷わず最前列の真ん中に陣取った。
これなら前の人の高さや髪型のストレスないもんね。

舞台には白い壁。それと多数の白のボックス。
カミュの「異邦人」が原作(未読。でもカミュってだけで、不条理劇かあと。うん、舞台装置もそんな感じだわ)。

始まって、いやぁ、何と言ったらいいのやら。
「美しい」でいいのかな。

主人公ムルソーは終始一貫主人公。他の役者は数役こなし、転換要員となり、コーラスする。
それがね、隅から隅までとことん美しいの。
動きも不思議に綺麗。
モブや転換時には黒いシャツと黒のスラックス。時には白のお面付き。個人を演じるときには相応の衣装。
バックミュージックは流れているけれど、人の声が音や動物の鳴き声まで表現(アカペラグループがやるような)。
真四角の箱は、運ばれ、積まれ、分解され、転換ごとに形を変える。
凄く面白く興味深い。どのつくシリアスで、“笑う”面白さはないけれど、本当に面白い。
ストーリーは、カミュから連想される不条理感たっぷりで、難しいわ、この主人公。
「原作読まなきゃ」って思った。でも、何というか、秀逸な舞台だった。


 

『異邦人』

シンクロナイズ・プロデュース公演『異邦人』を観に中野ザ・ポケットに行きました。

太陽が眩しかったから…

そんな理由で殺人を犯し、死刑判決を受けた男、ムルソー。
中学時代に読んだカミュの「異邦人」は、自身幼かったこともあって理解出来ませんでしたが、
今こうして、大人になって舞台化された作品を観ると、ムルソーという人物像が少し理解出来る気がします。
重い作品ではありますが、演出が見事で私は好きな舞台です。
以前からずっと、一度は観てみたい!と思っていたシンクロナイズ・プロデュースの公演だったので、
期待を裏切られることなく、とても見応えがありました。


 

『出来ればロングランで』

出来ればロングランで、もう一度観たかった。残念。

前半の斬新なゾクゾクする演出に比べ終盤は極めてオーソドックス。
陰陽つけたような印象


 

『象徴的な絵が印象に残った』

原作通りであり、視覚的にも天幕など印象的に用いており。

主人公の生き方さながらに、一歩引いて舞台を感じることができた。
白色で統一された舞台が、場面変化にうまく溶け込んでいる感を受けた。

主人公の自室からの窓辺にたたずむBGM(効果音)を、
肉声で行うとは・・。 見事でした。
ミュージカル風な作りなところも、違和感無く受け入れられました。
あと演出家の仕事でしょうか?
主人公の服の交換、変化の仕方。
すっごく上手でした! それを役上サラリとこなす役者さんもすごい!!
小説として完成されているものを、
他人の頭を通して、舞台という視覚で見れるのは。
すごく感動があります。 素敵な時間ありがとうございました。


 

『特異性を見事に表現した秀作』

若い時に読んだカミュの代表作「異邦人」を懐かしく想い返せたセンス抜群の芝居。

原作の特異性をシンプルながらもシャープに表現した脚本と演出に加え、
ストーリーにジャストフィットした無機質的な雰囲気を醸し出した舞台美術・音楽・照明。

これらすべてのファクターが絶妙なバランスで素晴らしい相乗効果を発揮していた。
うん、これはハイグレード。観甲斐があった。

「太陽が眩しかったから」という理由で、友人を恨んでつけ狙う情婦の兄に銃弾を連続して撃ち込んだムルソー。
死刑判決を受け、それをも淡々と受け入れて断頭台に消えるま、ただ自分の感覚に正直に行動し、
世間の常識に染まって自分を偽ることを認めなかった彼の行動を「不条理」と呼ぶのか。それでは、条理とは何なのか? 世間でいう条理は、正であり善なのか?
そんな疑問を改めて考え直させてくれた。

物語の始まりは、ママンの死。老人ホームで晩年を過ごしたママンの葬儀でムルソーは、亡き母の死に顔を観ようともせず、
涙も見せずに棺の前でタバコを吸い、管理人に勧められたミルクコーヒーを飲んだ。
その翌日は彼女と海へ行って遊び、喜劇映画を楽しみ、一夜を共にした。勤めもいつもと変わりなくこなした。
そして知人かか情婦との諍い話を聞かされ、彼の代わりに情婦への手紙の文面を考え、代筆したこと事がきっかけで、
知人は情婦の兄の怒りを買い、付きまとわれ、挙句の果てに、ムルソーを断頭台に送る事件が起きてしまう。
こうした流れが、きわめてシンプルな会話と演出でテンポよく展開されていき、観る側をムルソーの世界観の中に引き込んでいく。

この殺人事件でムルソーの考え方や行動ぶりを神や条理に反するとして執拗に憎む検察官の毒々しさの表現も流石。
不条理とは、神とは、人間の本質とは……これらを強烈な力で観る側に問いかけていく。

出演陣の力量も見事で、芝居のクオリティーを一段と高めた。
シンクロナイズ・プロデュース 。初見だったが、その質の高さをしっかりインプットさせてもらった。
また一つ、注目に値する劇団が増えた。


 

『異邦人』

『異邦人』
素敵でよく考えられられた舞台でした。

ただ、キャラクターの感情を抑えすぎなのではないかと思いました。
後半のあるシーンまで平坦すぎて物足りず。
歌は綺麗だがそれだけ。
コロス的な動きは、考えられているが統一感がない。無機質にしたいのか、人間ぽさを持たせたいのかわからない。
指先まで気を使った動きをしてほしいと思いました。

それから観客側のことで恐縮ですが、
携帯を見る、飲み物を飲む、眠って鼾をかく方が隣に居り、それにイラついた後部席の方が椅子を蹴飛ばしてくる、
という状況で気分をそがれました。
観劇マナーを皆さんに持っていただきたいです。


 

『素敵でした!』

ほぼ定時の開始でした。
原作は有名なアルベール・カミュの「異邦人」。
古典の部類だと思うのですが、どうアレンジされるのか楽しみにして観て来ました。

素敵でしたよ。
一言で言うと、「スタイリッシュな不条理劇」ですかね。
「笑い」は無いんですけど、『今の新劇』って感じでしょうか。

初日1ステ目でしたが、大きなミスもなく、カンパニーの一体感を感じました。
キャストで目を惹かれたのは、看護婦/モニカ役の松本早紀さん。
主役じゃないのですが、素敵でしたね。
看護婦役は顔を隠しているのですが、雰囲気があって、綺麗なだけじゃなくて「伸び代」を感じました。

異邦人の原作や舞台を読んだり観たりしている方には、お勧めです。
あと作品とは関係ないのですが、全席自由なのに会場係りの方に座席を強要されたのは、ちょっと頂けませんでしたね。

シンプルなセットを上手に使いまわして、緻密なライティングと相まって良かったです。
それと、「音」。
あんな演出だとは、想像していませんでした。
メインテーマが多用ぎみでしたけど、一つ一つの楽曲は素敵です。
面白いSEでしたし(観てのお楽しみ!)、難しそうな旋律を綺麗なコーラスで纏めていました。
「矛盾」や「不条理」を体現するような、コーラスでした。
色々な「仮面」に象徴される事柄も、よく伝わってきました。


 

『とにかく綺麗な』

舞台でした。転換も見せ物として飽きさせなかったです。ナイフとフォークで奏でるメロディが心地よかった。


 

『「異邦人」はどっち?』

「太陽が眩しかったから」という台詞で有名なアルベール・カミュの「異邦人」を比較的忠実に台本化した本作。
何事にも受身で、自分自身のことにさえ、あまり関心を持たないがゆえに、死刑台へと送られることになる主人公を丹念に描く。
自分に常に正直に、偽りを一切認めない、神を否定する主人公と、神を信奉し、道徳的な主人公以外の人々のどちらが、「異邦人」=「部外者」=「非常識人」なのかを見るものに問いかける。
道徳観が薄れるとともに、他者に対する関心が低い現在の日本においては、「異邦人」はもちろん主人公以外の人々であろう。
原作がどの時代にも通用する名作であることを再確認するとともに、そのことを理解させてくれた緻密な演出に感謝したい。

※欧米の作品を原典におく作品を読む、また、見るにつけ、毎回思うことであるが、一般に宗教観が薄い日本人の受け止めは欧米人のそれとは異なるのではないか。それをどう脚本家・演出家は考えているのだろうか。という疑問を今回も抱いた。


 

『高度な異質さ』

ひじょうに素敵な作品でした。

演出・照明・音楽、どれをとってもセンスがいい。

舞台は無機質な、どちらかというと淡白なセットなのに照明で更に幾何学的なラインを作り出し、更に音楽で盛り上げるという視覚も聴覚も満たされた芝居。

いきなり白いマスクを被った妖しい輩が登場。彼らは口々になんやら他の惑星かr来たような濁音を発する。クチャクチャ・・・カツカツ・・・みたいな・・。異様な雰囲気で始まったその舞台に直に呑まれる。
やがてそれは後半の展開から陪審員だったことが解る。

ムルソーのママン死んだ。しかし彼は涙も見せず淡々と埋葬を済ませ、翌日には海へ行き彼女と遊び喜劇映画をみて、SEXをした。いつものように勤めに出て何も変わることはなかった。そして知人が付き合う情婦に手紙を代筆したことが原因で諍いになり情婦の兄をピストルで撃ち殺した。ムルソーが死刑判決を言い渡されるまでの物語。

ムルソーの持つ独特の倦怠感、相手のことを必要以上に詮索しないし、自分のことも必要以上に話すこともしない。そういうことに意味はない。と思っている無関心さの表現が実に上手い!彼女との情事でも単に一緒に居て息をしている関係のようなものだ。何も求めないし何も与えない。世の中というものに何も期待していないようだ。それでも精神を破綻させることもなく、淡々と日々を過ごすムルソー。いつもひどく怜悧な目をして落ち着きはらったその視線の先は何が見えてたのか・・・。
およそ何の感情も浮かべていない。その本質までは理解できないが、「生きることは死ぬことと同じだ。いつ死んでもいい。」と彼の叫びが聞こえてきそうだ。その暗さとクールさにぞっとしながらも、独特の世界観に惹かれた。

裁判中でもその姿勢は変わることなく、尋問にも今の気持ちを正直に話してしまう。それらに関心を抱く事もなく、いっさい無意味だと悟ってしまう。
だから検事の尋問に「悔いるというよりもうんざりしている。」と言い放つ。
そして、それらの言動や証言から彼への評価は悪い方向へと水は流れ死刑判決がおりる。後半部分での司祭とムルソーの掛け合いが絶妙!

「ゆっくり行くと日射病になってしまう。けれど急ぎすぎると汗をかいて教会で寒気がしてしまう。」ママンがムルソーに教えた言葉がジンと沁みた。

ポップな音楽に乗せて美しく哀しいカミュの代表作をセンスのいい舞台に仕上げてた。雨の音もいい。みんな、いい仕事するなぁ・・・。

ありがとうございました。
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